CASE #16e-casebook LIVE|ライブデモンストレーションを国内外に配信

札幌ハートセンター流カテーテル治療手技を全国・世界に発信し魅力を伝えたい

藤田 勉

札幌ハートセンター 理事長兼CMO / 札幌心臓血管クリニック 院長

札幌ハートセンター主催のCardiovascular Therapeutics Expert Conference(CTEC)は、2023年に立ち上がったWeb研究会で、ライブデモンストレーションを通じて札幌ハートセンターで行われる治療方法を知ってもらうことを目的としている。多くの医療従事者の方々に知ってもらうため、循環器内科、心臓外科、放射線科など特定診療科に特化したプラットフォームであるe-casebook LIVEで、2024年3月21日~24日にかけてライブ配信されることが決定した。
当日は、冠動脈インターベンション治療であるCoronaryセッションに加え、麻酔科セッション、外科セッション、国際セッションなど、幅広いテーマのセッションが予定されおり、一人でも多くの方に札幌ハートセンターの治療の潮流や院内の雰囲気を知ってもらいたいと藤田氏は語る。

記事公開日:2024年3月6日

札幌ハートセンターの症例や治療の現状を発信するCTEC

もともと、札幌ハートセンターの治療手技を発信する研究会を創設する構想がありました。そんな中、新型コロナウイルスが流行し、多くの研究会の開催形式がWeb形式に移行しました。コロナが収束すれば、従来の現地での開催形式に戻ると予測しましたが、そうなると参加者が近隣の医療従事者に限られ、研究会が小規模になってしまいます。それよりも、全国各地からより多くの方が参加できるWeb形式でライブデモンストレーションを実施したいと考え、2023年にCardiovascular Therapeutics Expert Conference(CTEC)in Sapporo Heart Centerを発足し、第1回をWebで開催しました。

CTECの特徴は、循環器内科など一つの診療科に焦点を当てるのではなく、幅広い診療科を対象にした多彩なセッションを用意しているところにあります。また、参加対象も医師だけにとどまらず、臨床工学技士、放射線技師、臨床検査技師、看護師など多岐にわたります。

CTECの開催は、当院の治療手技を広く知ってもらうと同時に、新たな仲間を迎えるための採用活動の側面もあります。キャリアのステップアップに意欲的でありながらその機会に恵まれていない全国の医療従事者の方々に向けて「ぜひ札幌ハートセンターで働きませんか」というメッセージも込められています。そのため、CTECでは各ライブコースのディレクター医師にセッションの内容を委ねつつも、当院が実施している症例や、実際の治療の現状をお伝えすることで、共に働く仲間をリクルートする狙いがあります。

e-casebook LIVEを活用した情報発信

e-casebook LIVEについては運営開始した当初から注目しており、特に小倉記念病院循環器内科主催のライブデモンストレーションコースである「KOKURA LIVE」がe-casebook LIVEで配信し大盛況だった様子を見て、当院でも同様の取り組みを行いたいと考えました。

e-casebook LIVEは、配信技術はもちろんのこと、多くの医療従事者が登録しており、診療科カテゴリーも多岐にわたるなど、CTECの参加対象者とマッチしています。昨年はスケジュールの都合でZoomを使用してライブ配信を行いましたが、もしe-casebook LIVEで配信すれば幅広い層に情報を届けることができ、参加者層がさらに広がるのではないかと可能性を感じていました。今年(2024年)はe-casebook LIVEで開催しようと私から提案し、採用されることになりました。

4日間にわたるCTEC2024のプログラム

1日目(3月21日)は、FireSideセミナーと題し、佐藤勝彦先生(医療法人札幌ハートセンター理事兼CCMO)と共に、札幌ハートセンターの紹介とハイボリュームセンターの使命についてお話しします。

2日目(3月22日)は、4チャンネルを用意して、麻酔科セッション、PAD(末梢動脈疾患)セッション、外科セッション、そして今年初の国際セッションを行います。国際セッションでは、蔵満昭一先生(札幌心臓血管クリニック循環器内科部長/コアラボ研究所長)がコースディレクターを務めます。

3日目(3月23日)は、4チャンネルを用意して、Coronaryセッション、不整脈セッション、SHD(構造的心疾患)セッション、臨床検査科・臨床工学科セッションを行います。Coronaryセッションでは、当院が得意とする石灰化病変の治療や慢性完全閉塞病変(CTO)の治療をご紹介します。SHDセッションでは、八戸大輔先生(札幌心臓血管クリニック循環器内科部長/SHDセンター長)がコースディレクターを務め、全国規模のエキスパートの先生方を招きディスカッションを行います。

最終日(3月24日)は、4チャンネルを用意して、心臓血管外科セッション、看護部・NPセッション、放射線科セッション、リハビリテーション科・薬剤科セッションを行います。さまざまなセクションの発表を用意していますので、参加者の皆さんが興味のあるセッションを選択できるようになっています。

 

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CTECの独自性

通常、カテーテル治療のライブデモンストレーションは全国からさまざまなエキスパートの先生を招いて行われます。しかし、当院は特有のアプローチで治療を行っており、そのためCTECでは基本的には院外の先生方を招くことはなく、オペレーターを含めた全ての役割を当院のスタッフが担っています。例えば、座長は鹿島由史先生(札幌心臓血管クリニック副院長)と私が務め、オペレーターは当院の循環器内科医が担当し、症例説明を他のスタッフが行うといった具合です。

当院はロータブレーターを使用した治療やCTO治療が特徴的で、当日はミニマルスティックCTOやTD-ADR(Antegrade Dissection Re-entry)など、他では見ることのできない日本初の新しい技術や手法を紹介します。また、今年は初めての国際セッションも予定しています。当院には複数の留学生が在籍し、国際的な交流が盛んになっています。このような背景から、国際的な取り組みも行いたいと思っていましたし、将来的にはCTECを国際的なライブデモンストレーションコースに発展させたいと考えています。

CTECでは商業的な要素を一切排除し、臨床現場に役立つ実用的な情報を発信することを重視しています。参加者の皆様にも興味を持っていただける内容になっていると確信していますので、当日はぜひお楽しみください。