DOCTOR'S VOICES

CASE#008オンラインで手技のスキルアップ

若手医師の日常臨床の悩みをライブワークショップで解決

2019年9月にe-casebook LIVEで「浦添総合病院ワークショップ」を立ち上げた上原氏。以前から病院内でのワークショップを年間30件あまり実施し、沖縄周辺の病院のみならず、全国の病院の若手医師の参加も受け入れるなど、熱心に後継専門医の教育に励んできた。
若手医師目線のディスカッションを行うことで、若い視聴者や参加者に、日々の臨床現場で役立つ治療法を伝授したいと上原氏は話す。

浦添総合病院 循環器内科 主任部長

上原 裕規 氏

病病連携で教育コンテンツを発信

私自身が沖縄県内でも上の世代、指導する立場になってきて、病病連携で若手の先生との繋がりを持って彼らのスキルアップを図りたいという気持ちが強く、ワークショップ等の情報発信による若手医師の教育に力を入れています。病病連携を高めると、いろいろな症例に携わっている先生をお招きできるし、沖縄県内では見られないようなデバイスを使用しての治療や、最先端の技術を見ることができるというメリットがあります。その場に若手の先生を呼び込むことで、最新の取り組みを周知できるいい機会になり、症例の相談もできて、知識を深めることができる。病院の枠を越えて、彼らにとって学ぶものが大きいんじゃないかと考えています。回を重ねていった結果、今年は症例の紹介が昨年から100例ほど増えました。
また、我々ベテランスタッフにとっても、ワークショップはメリットになります。スペシャリストの先生を初めとした多くの先生方の目に触れることで、治療の偏在化を防ぐことができるからです。ベテランであるが故に、独りよがりな治療に陥ってしまっていることもありますし、その点では、ワークショップは、自分の手技を見直すいいきっかけを与えていてくれているのではないでしょうか。

e-casebook LIVEを始めたきっかけ

e-casebook LIVEを始めたのは、浦添総合病院に院内ライブ配信システムがある、ということを知っておられた、土金悦夫先生の発案です。ライブ配信機能を備えた病院は全国でも数少なく、当院が会場に適しているのでは、と打診をいただきました。もともとe-casebook自体はCVITなどの学会での手術ライブで知っていて、当院の取り組みと近い感覚のe-casebook LIVEには親近感がありましたし、当院も院内ライブ配信で慣れているので、躊躇なく始めることができました。ライブ配信をすることで、若手の先生たちの勉強ツールになり、我々病院スタッフのスキルアップにもつながる。いろいろなことを含めてお受けしました。

日常臨床の模擬体験を全国の若手医師に

実際に全国にライブ配信をしてみた感想としては、若手の先生の実臨床に役立つような良い形でできたと思います。
例えば「マスター」と呼ばれるスーパースターの先生が行う難しい手技で「自分にはできないけど凄いな」と思うような手術ライブもあるのですが、これを扱える先生は10年や20年の経験を積んでいて、おそらく専門医全体の10%くらいです。残りの90%の先生たちは日常的に起こるComplex PCIをどうやって治療するのかを日々悩みながら研鑽しています。どちらかと言えば若手の先生は、日常臨床における悩みの解決を見出したいと、一番望んでいるのではないでしょうか。
ですので、当院のライブでは若い先生がオペレーターとなり、視聴者の先生も自分のことのように体感してもらえる舞台設定を心がけています。この模擬体験ができるのがライブ配信の利点だと思います。e-casebook LIVE視聴者が30代から40代の若い先生であるというデータがあるように、そういう方向けの垣根のないディスカッションの場が、実現しつつあると実感しています。

地域コミュニティとしてのe-casebookに期待

医用画像をアップロードしやすいし、サクサク閲覧できるので、今の仕様は非常に良いと思います。できればもっと気軽な症例相談などもできるように、地域の先生方のコミュニティツールとして地区ごとに強化し、ディスカッションが盛んになるのが理想です。e-casebookは地域を絞ったコミュニティをしっかり作っていけるツールだと思っています。高名な先生方が情報発信する全国的なグループでは、若手の先生は意見がしづらい。普段は若手の先生だけのコミュニティで、ときどき重鎮の先生が参加するくらいがちょうどいいと思います。

これからのe-casebook LIVE

アンケート形式を今回のライブで初めて導入しましたが、視聴された先生方の率直なご意見をタイムリーにお伺いすることができ、非常に有用だと思いました。こういった双方向のコミュニケーションができるツールをどんどん充実して欲しいと思いました。別施設の先生方をインターネットでつないで、それぞれの場所からコメンテーターとして画面で参加できる形になると面白いんじゃないでしょうか。
コンテンツも分岐部やCTOと細分化していただいて、教育ツールとして最新の治療をアップデートして欲しいです。先日、木下先生のライブ配信を拝見したのですが、従来の教科書にも書かれていない、当院では手がけたことのない手技で、上の先生から下の先生まで非常に勉強になるとても面白い内容でした。今後もトップオペレーターの先生たちから、日常臨床に役立つ手技を配信して頂けることを期待しております。