DOCTOR'S VOICES

CASE#010若手医師の声が可視化できる次世型Web研究会

海外の専門医とディスカッションしながら、重症下肢虚血の手術を行う

2018年、東京ベイ・浦安市川医療センターに入職し、末梢血管インターベンションのうち特に重症下肢虚血の診療を精力的に取り組む。同年12月、鈴木健之先生(東京都済生会中央病院)、宇都宮誠先生(東邦大学医療センター大橋病院)と共に、世界初の医師主導の末梢血管治療のWebライブコース(研究会)であるTECC(Tokyo Endovascular Challenging Conference)を立ち上げ、末梢血管治療の知識や技術を、Webライブを通じて世界に発信し続けている。

東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 副部長

仲間 達也 氏

ライブは「医学発展のためになる」ことが大事

僕が初めてライブオペレーター(術者)として参加したのは、2012年のQJET (九州Joint endovascular therapeutics)で、膝下動脈の閉塞病変の治療を行いました。難しい症例でしたが、なんとか手技成功させることができ、そのときの達成感は今でも鮮明に覚えています。
その時から現在まで、全国各地の手術ライブ研究会でオペレーターとして参加させていただいています。その中で、常々、「ライブ」の持つ意味について考えてきました。
手術ライブの症例患者さまは「医学発展のため」、「医師の教育のため」、ライブ治療に同意し、ご協力くださっています。わざわざ手術ライブに同意していただいたからには、その厚意に報いる必要があります。すなわち、患者さまが「医学発展のため」という志に同意していただいた以上、ライブを見てくださっている医師の方々にも、ライブを通して、何らかの「メッセージ」を伝えることが必要だと考えています。この「伝えるべきメッセージ」をどのように伝えていくか、を突き詰めていかなければ、ライブ治療の存続は困難であると考えています。

リアルな治療を知ってもらう場、医師主導のWebライブコースの立ち上げ

カテーテル治療を学ぶためには、「誰かの手技を見て学ぶ」という過程が必要不可欠です。その学びの場として、①会場をもつライブコースに参加する、②各病院での小規模参加型ワークショップに参加する、の2つがあります。Face to Faceの研究会の良さは、Webの画面を通してでは伝えられない情報を得られる点ですが、どちらにも共通するデメリットは、「その場に出向かなければ学ぶことができない」という点です。実際、最も学びの場を欲しているはずの若手医師は、日々の臨床に追われ、そういったオフラインの場に参加する機会を持つことですらできません。これを解決するため、時間的・空間的限界を持たずに発信できる「Web」という媒体に可能性を見出しました。従来の会場が必要なライブはどうしても巨額な予算が必要ですし、小規模のワークショップはスポンサー企業の意向もあり現場での「リアル」な治療の選択を伝えるのに不向きです。一方でWebライブは、規模にもよりますが費用も10分の1以下で、多くの医師にリアルな情報を提供することができます。

Webライブを通じて適切なEVT手技・知識の教育・啓発をしていきたいという強い想いから、志を同じとする、鈴木健之先生(東京都済生会中央病院)と、宇都宮誠先生(東邦大学医療センター大橋病院)と力を合わせ、世界初の医師主導のWebライブコース、TECC(Tokyo Endovascular Challenging Conference)を立ち上げました。

e-casebook LIVEで海外Webコメンテーターを交えての症例検討が可能に

2018年12月に第1回目のTECCを開催しました。そのときの反省点として、Webコメンテーターの音声が一部途絶えたこと、Webコメンテーター側に配信されていた画像のクオリティが十分ではなかったことが挙げられ、何らかの改善が必要であると皆で話し合っていました。
そんな折、2019年1月に台湾で開催されたTTT(Taiwan Transcatheter Therapeutics)で、オペレーターをさせて頂いたのですが、その様子がe-casebook LIVEで世界に配信されており、多数の方から反響をいただきました。
そのとき、「e-casebook LIVEでTECCを配信すれば、ハイクオリティのライブを日本だけでなく、世界各国に届けることが出来る」と確信しました。

それで実現したのが、2019年12月に開催したTECC2019 のe-casebook LIVE配信です。今回の新しい挑戦は、海外からのWebコメンテーターを参加させてのライブ配信でした。TECC2019の4症例目を「International Session」として、親しくしている3人の医師(台湾、香港、ベルギー)にコメンテーターとして参加してもらい、海外医師向けに英語配信を行いました。
中継のラグが発生しないか、聞き取るに耐えうる音声が届けられるのか、そしてその挑戦尽くしの環境の中で、海外ゲストが観て、納得する手技ができるか、そういった多くのプレシャーがありました。しかし、中継が始まり、ベルギーにいるKoen Deloose先生の声がはっきりと聞こえた瞬間、「このライブは間違いなく成功する。自分たちの考えていたコンセプトは間違いではなかった。」と確信に変わりました。
最終的に500人以上の方々に視聴していただき、また開催中には約500件の質問・コメントもいただき、活発な議論ができた会になりました。多くの方々から非常にポジティブな評価を頂き、ある方からは「ライブ治療の歴史が変わった日になるかもしれない」とまで言っても頂きました。海外から視聴してくださった医師達からも非常に好評でした。

Web研究会をもっと世界に浸透させたい

5Gを用いた配信が可能となることで、コメンテーターとのバーチャルな距離感がもっと近くなると思います。
また、海外向けの情報発信をもっと強めていくことで、アジアの中はもちろん世界における日本の存在感を高めることができると思います。今後もe-casebook LIVEを使って、「Web研究会」という新しい世界を切り開いていきたいです。